サブマリーナーのベゼルを知る!機能と素材の違い

サブマリーナーを見比べていると、文字盤より先にベゼルの色が気になることがあります。ところが詳しく調べると、黒か緑かという話だけでは終わりません。

素材や回転方向、年代による仕様差まで出てくるため、どこを見ればよいのか迷いやすい部分です。見た目が似ているモデルでも、ベゼルには意外と大きな違いがあります。

こんにちは、『クロノヴィア』のトキオです。わたしも最初は色の違いだと思っていましたが、調べるほどサブマリーナーの性格を表す部品だと分かり、ここで一度立ち止まりました。

目次

ベゼルは飾りではない

サブマリーナーのベゼルは、外観を引き締める装飾だけではありません。潜水を始めてから何分たったのかを読み取るために設けられた、ダイバーズウォッチらしい装備です。

ベゼルには0分から60分までの目盛りがあり、12時位置には三角形の基準マークがあります。潜水を始める際、この三角マークをそのときの分針に合わせて使います。

その後は、分針がベゼル上のどの目盛りまで進んだかを見るだけです。現在時刻とは別に経過時間を読み取れるため、水中での滞在時間を確認しやすくなっています。

三角マーク

潜水開始時の分針に合わせ、経過時間を測る基準にします。

60分の目盛り

分針との位置関係から、過ぎた時間を読み取ります。

夜光入りの基準点

暗い水中でもベゼルの開始位置を確認しやすくします。

左方向だけに回る理由

現代のサブマリーナーに使われているベゼルは、反時計回りにだけ動く逆回転防止式です。右方向へ回そうとしても動かないため、故障だと感じる必要はありません。

片方向にしか回らないのは、ベゼルへ誤って触れた場合でも、実際より短い経過時間が表示されないようにするためです。潜水時計ならではの安全側を考えた仕組みですね。

たとえば潜水から20分後、ベゼルが偶然5分ぶん動いたとします。反時計回りなら表示は25分となり、実際より長く潜っているように表示されます。

トキオ

片方向なのには理由があるんです

逆回転防止は残り時間を多く見積もらない仕組みです。わたしはこの理由を知ってから、クリック音の一つひとつにも道具らしさを感じるようになりました。

昔から同じ仕様だった?

サブマリーナーは長い歴史を持つモデルですが、登場当初から逆回転防止式だったわけではありません。初期のモデルでは、左右どちらにも動かせるベゼルが採用されていました。

逆回転防止機構が採用された代表的な転換点として挙げられるのが、サブマリーナーデイトのRef.16800です。1970年代末から1980年代初めに登場した世代に当たります。

そのため、古いサブマリーナーを試着してベゼルが両方向に動いても、それだけで異常とは判断できません。製造年代とリファレンスに合った仕様かを見る必要があります。

世代の目安ベゼルの主な特徴
初期モデル両方向に回転する仕様が中心
Ref.16800以降逆回転防止機構が採用される
5桁リファレンスアルミ製インサートが中心
6桁リファレンスセラクロム製インサートが中心

ヴィンテージを選ぶ場面では、現行モデルの常識だけで判断しないほうがよいでしょう。年代ごとの違いを知ると、古い時計を見る面白さも少し増えてきます。

アルミベゼルの味わい

旧世代のサブマリーナーでは、長い期間にわたってアルミニウム製のベゼルインサートが使われてきました。薄く軽い素材で、表面には目盛りや数字が印刷されています。

アルミは使用や紫外線の影響によって傷が増えたり、色が少しずつ薄くなったりします。黒が灰色に近づくこともあり、その変化を古い時計ならではの表情として楽しむ人もいます。

新品に近い状態を長く保ちたい人には弱点となりますが、年月が刻まれていくことを魅力と感じる人には候補になります。新品時の美しさだけが正解ではないんですよね。

セラクロムは何が違うのか

現在の主要なサブマリーナーには、ロレックスがセラクロムと呼ぶセラミック製インサートが使われています。硬く、日常使用による細かな傷が付きにくいことが特徴です。

紫外線による退色にも強いため、ベゼルの色を長く保ちやすくなっています。数字と目盛りは表面へ印刷するのではなく、素材に彫り込んだうえで金属を用いて仕上げられます。

光が当たった際のつやもアルミとは異なります。同じ黒でも現行モデルは光沢が強く、旧型のアルミは少し柔らかな印象。写真以上に、実物では違いが伝わってきます。

  • アルミは使い込むことで傷や色の変化が表れやすい
  • セラクロムは細かな傷や紫外線による退色に強い
  • 同じ黒でも素材によって光の反射と質感が異なる

どちらが上というより、好みの方向が違います。古い時計らしい変化を楽しむならアルミ、購入時の印象を長く保ちたいならセラクロムが選択肢に入りやすいでしょう。

セラクロムも無傷ではない

セラクロムは傷に強い素材ですが、どのような衝撃にも耐えられるわけではありません。金属とは性質が異なるため、強い力が一か所へ加わると欠けや割れが生じる可能性があります。

日常で机やドアへ軽く触れた程度なら、過度に心配する必要はないでしょう。ただし、硬い床へ落とした場合や、ベゼルの縁を強く打った場合は状態を確認したいところです。

小さな傷を自分で磨こうとすると、表面や周囲の部品を傷めるおそれがあります。欠けや動作不良は自分で外さず点検を依頼するほうが、後から困りにくいと思います。

黒と緑で印象は変わる

サブマリーナーのベゼルを選ぶ際、素材と同じくらい迷いやすいのが色です。定番の黒は文字盤やブレスレットとなじみやすく、服装を大きく選ばない落ち着きがあります。

仕事でも休日でも同じ一本を使いたい人には、黒が考えやすいでしょう。腕元で強く主張しすぎないため、初めてサブマリーナーを買う場合にも候補へ残りやすい色です。

一方の緑は、サブマリーナーらしい基本形を保ちながら個性を出せます。黒より目に入りやすいものの、深い色調なので、実物では派手すぎないと感じる人もいるでしょう。

グリーンサブも一種類ではない

緑のベゼルを持つモデルは、すべて同じ印象ではありません。Ref.16610LVはアルミ製の緑ベゼルと黒文字盤を組み合わせ、サブマリーナー誕生50周年の節目に登場しました。

後継世代のRef.116610LVでは、ベゼルだけでなく文字盤も緑になりました。光沢のあるセラクロムと緑文字盤が組み合わされ、腕元での存在感はかなり強くなっています。

現行世代のRef.126610LVは、緑のセラクロムベゼルに黒文字盤という組み合わせです。同じ緑でも、旧型の軽やかさ、全面的な緑、現行の引き締まった印象に分かれます。

代表的なモデルベゼルと文字盤
Ref.16610LV緑のアルミベゼルと黒文字盤
Ref.116610LV緑のセラクロムベゼルと緑文字盤
Ref.126610LV緑のセラクロムベゼルと黒文字盤

わたしなら、緑という言葉だけで候補を決めません。文字盤まで緑なのか、ベゼルだけなのかを先に確認します。ここを見落とすと、腕に載せたときの印象が予想と変わります。

実物では光の当たり方を見る

ベゼルの色は、販売ページの写真だけでは判断しにくい部分です。撮影時の照明や画像の補正によって、黒が明るく見えたり、緑が実物より鮮やかに写ったりします。

店舗で確認できるなら、ショーケース内だけで終わらせず、腕に載せて少し角度を変えてみてください。照明の真下と少し離れた位置では、セラクロムの反射がかなり変わります。

緑は自然光に近い場所でも見ておきたい色です。明るい場所では存在感が増し、暗い室内では落ち着いて見えることがあります。ここは写真より自分の目を優先したいですね。

中古ではベゼルだけを見ない

中古のサブマリーナーを探すときは、どうしてもベゼルの傷や色へ目が向きます。ただし、時計全体の状態を判断するには、ベゼルだけをきれいに見ても足りません。

文字盤や針との年代の組み合わせ、ケースの研磨状態、ブレスレットの伸び、過去の整備内容も確認したいところです。特に古いモデルでは、部品交換の有無が印象を左右します。

色あせたアルミベゼルは魅力的ですが、薄ければ必ず希少というわけではありません。経年変化なのか、交換品なのか、加工されたものなのかは、外観だけで断定できない場合があります。

購入前は三段階で確認する

ベゼルを理由にサブマリーナーを選ぶなら、色だけを先に決めるより、素材、年代、時計全体の順で見たほうが判断しやすくなります。確認する順番を三段階に分けてみましょう。

ステップ1 素材を見る

アルミかセラクロムかを確認し、好みの質感を考えます。

ステップ2 年代を見る

リファレンスと製造年代に合った仕様かを確認します。

ステップ3 全体を見る

文字盤やケース、ブレスレットとの印象を見比べます。

価格が高い個体ほど、ベゼルがきれいという理由だけで決めたくないんですよね。交換歴が分からない場合は、販売店へ純正部品かどうか、整備記録が残っているかを聞いてみます。

回答が曖昧な場合は、その場で急いで決めなくても構いません。比較するなら、同じ型番を二本以上見て、ベゼルの色、文字の太さ、ケースとのなじみを見比べてみてください。

回転するときの感触も見る

実物を操作できるなら、ベゼルをゆっくり一周させてみましょう。現行モデルでは細かなクリックを伴いながら動き、12時位置へ戻した際には三角マークが文字盤上部に合います。

個体による多少の感触差だけで故障とは言い切れません。ただし、極端に重い、軽すぎる、途中で引っ掛かる、上下へ大きく動く場合は販売店へ状態を聞きたいところです。

オンラインで購入する場合は、ベゼルを一周させる動画を見せてもらう方法があります。写真では伝わらない動作や音を確認でき、届いてから気になる場面を減らせます。

傷があると交換すべき?

ベゼルに傷が付いていても、すぐに交換が必要とは限りません。表面の小傷だけで操作や視認に問題がなければ、そのまま使う選択もあります。使用の跡として受け入れる人もいます。

一方で、欠けが広がっている、目盛りを読みにくい、回転が止まる、基準位置が大きくずれる場合は点検を考えたいところです。必要な作業は実物の状態によって変わります。

正規サービスでは時計を点検したうえで、必要な作業と費用が案内されます。古いモデルでは交換後の部品が元の仕様と異なる場合もあるため、作業前に内容を確認しておきましょう。

社外ベゼルには注意したい

中古市場には、純正品ではない交換用ベゼルやインサートも流通しています。外観を変える目的で装着されることもありますが、純正部品と同じものとして扱うことはできません。

時計を気軽に楽しむ目的なら考え方は人それぞれです。ただし、将来の売却や正規サービスの利用まで考えるなら、社外部品が付いているかどうかは購入前に聞いておきたい部分です。

純正かどうか分からない個体では、価格の安さだけで判断しないほうがよいでしょう。交換前の部品が付属するか、元の状態へ戻せるかも確認材料になります。

ベゼルから自分の一本を選ぶ

サブマリーナーのベゼルは、潜水時間を測る機能を持ちながら、年代や素材、色の違いまで伝えてくれる部品です。現行品では逆回転防止式とセラクロムが基本になっています。

旧世代のアルミには年月とともに変化する面白さがあり、セラクロムには購入時の色とつやを保ちやすい実用性があります。黒と緑でも、腕に載せたときの印象はかなり変わります。

まずは同じ店舗で、黒と緑、アルミとセラクロムを一本ずつ見比べてみてください。写真では気づかなかった好みが分かれば、自分に合うサブマリーナーへ一歩近づけるはずです。

情報は更新時点のものです。最新情報は公式サイトもあわせてご確認ください。

この記事を書いた人

「クロノヴィア」トキオ

クロノヴィアでは、高級腕時計のブランドやモデルごとの違い、価格感、選び方に関するよくある疑問を、わかりやすく整理しています。

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