腕元に光を当てたとき、昨日までなかった細い線を見つける。サブマリーナーを使い始めると、そんな瞬間が意外と早くやってきます。
こんにちは、『クロノヴィア』のトキオです。傷を見つけた直後は、きれいに消したい気持ちと、余計なことはしたくない気持ちがぶつかりますよね。
そこで今回は、傷を見つけたときの確認順、研磨できる傷の目安、自分で磨くリスク、売却時の扱いまで順番にお話しします。
小傷は使えば少しずつ増える
サブマリーナーは海で使うことも想定された丈夫な時計ですが、表面に傷がつかないわけではありません。日常生活では、机やドア、金具などと腕時計が接触します。
とくに細かな線が入りやすいのは、バックルやブレスレット、ケース側面です。光沢のある面は光を強く反射するため、浅い線でも角度によって目立ちます。
浅い小傷は使用に伴って生まれる自然な変化です。傷があるだけで、時計の防水性や精度がすぐ失われるわけではありません。
- ヘアライン状の小傷
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光の角度を変えると見える、髪の毛のように細い線です。
- 擦れてできた傷
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机や衣類の金具などに触れ、帯のように残った傷です。
- へこみを伴う打ち傷
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硬い物へ強くぶつけた際に、金属がへこんだ状態です。
傷を見つけた直後の確認手順
気になる線を見つけても、すぐ研磨剤を探す必要はありません。汚れや皮脂が光を反射して、実際より深い傷に見えている場合もあります。
ここでわたしも一度止まりました。ケース側面の線を消そうとしましたが、拭いたあとに角度を変えると、ほとんど気にならなかったからです。
まずは明るい場所で場所と深さを確認します。力を加えてこするのではなく、柔らかな布で表面の汗や指紋を軽く拭く程度にとどめましょう。
- 手順1は、傷がある場所を明るい場所で確認する
- 手順2は、柔らかな布で汚れや皮脂だけを軽く拭く
- 手順3は、爪が引っかかる深さやへこみがないかを見る
- 手順4は、欠けや動作不良があれば使用を控えて相談する
傷の場所によって対応は変わる
同じような一本の線でも、ブレスレットにあるのか、ベゼルや風防にあるのかで話は変わります。時計全体をひとまとめにして判断しないほうがよいでしょう。
ブレスレットの浅い擦り傷なら、外装研磨で目立ちにくくなる可能性があります。一方、風防の欠けやベゼルの損傷は、単純な金属研磨では対応できません。
時計をぶつけたあとにベゼルが回りにくい、リューズの操作感が変わった、内部に曇りが出た場合は、外から見える傷だけの問題と決めないほうがよさそうです。
| 傷の場所 | 先に確認したいこと |
|---|---|
| ブレスレット | 浅い擦り傷か、コマの変形を伴う傷か |
| バックル | 表面の線だけか、開閉に違和感があるか |
| ケース | 角や輪郭にへこみや変形がないか |
| ベゼル | 表面の線か、欠けや回転不良を伴うか |
| 風防 | 汚れなのか、欠けやひびが生じているか |
自分で研磨するのは避けたい
インターネットでは、金属用の研磨剤やクロスを使った傷取りも紹介されています。浅い線なら、自分でも消せそうに感じるかもしれません。
ただ、サブマリーナーの外装には、光沢を出した面と細かな筋を残した面があります。磨き方を誤ると、その仕上げの違いが弱くなる可能性があります。
小傷を消すために家庭用研磨剤を使わないという判断が無難です。マスキングや分解をせずに磨けば、隣の面まで触れてしまうことがあります。
トキオ小さな傷ほど急いで触りたくなるんですよね
プロの研磨でも消せない傷がある
外装研磨は、ケースやブレスレットの金属表面を少し削り、傷を目立ちにくくする作業です。表面だけにある浅い線ほど、改善しやすい傾向があります。
一方、爪がしっかり引っかかる傷や、金属がへこんだ打痕は、完全に消せないことがあります。深さに合わせて削れば、周囲の金属まで減ってしまうからです。
わたしなら「傷を全部消せるか」よりも、ケースの角や元の形をどこまで残せるかを先に聞きます。新品らしさだけを求めて決めたくないところです。
研磨を繰り返す前に考えたいこと
研磨を一度行っただけで、すぐ時計の形が大きく変わるとは限りません。ただし、研磨では金属を削るため、何度でも元に戻せる作業ではありません。
小傷が増えるたびに磨いていると、長い年月の中でケースの角が丸くなったり、ブレスレットの輪郭が弱くなったりする可能性があります。
日常で使う現行モデルなら、見た目をきれいにする価値もあります。それでも、毎回完全な無傷を目指すより、点検の機会に相談するほうが納得しやすいでしょう。
古い個体は研磨歴も確認したい
中古やヴィンテージのサブマリーナーでは、傷が少ないことだけで評価が決まるわけではありません。研磨されていない状態を好む人もいます。
研磨を受けていない時計は、一般にノンポリッシュやノンポリと呼ばれます。ただし、販売店ごとに判断の基準が異なるため、表記だけで決めつけないほうがよいでしょう。
ケースの厚み、ラグの形、面と面の境目、過去の修理歴まで見る必要があります。写真だけでは分からない場合は、販売店へ研磨歴を尋ねるのが現実的です。
売却前に傷を消す必要はある?
傷があるまま査定へ出すと、大きく損をしそうで気になりますよね。ところが、売却直前に自費で研磨しても、その費用以上に査定額が上がるとは限りません。
買取店は、買い取った時計を販売前に点検し、必要に応じて外装へ手を入れます。軽い使用傷なら、店舗側で対応できる場合もあるためです。
査定前は無理に磨かず、保証書、箱、余りコマなどを一緒に用意するほうが分かりやすい選択です。傷の評価は店舗によって違うため、複数店で比べる手もあります。
傷より先に相談したい症状
表面の小傷だけなら、急いで修理へ出さずに様子を見る選択もできます。ただし、衝撃を受けたあとに別の異変が出た場合は話が変わります。
風防のひび、ベゼルの欠け、リューズの締まりにくさ、時計内部の曇りは、外装研磨だけでは解決できません。防水性への影響も考えて相談したい症状です。
また、急に時刻が大きくずれるようになった場合も、傷とは別に点検を考えます。外見が軽い傷でも、ぶつけた衝撃の強さまでは表面から判断できません。
普段の扱いで深い傷を減らす
サブマリーナーを着ける以上、すべての小傷を防ぐのは難しいものです。それでも、へこみや欠けにつながる強い接触は、普段の置き方で減らせます。
外した時計を鍵、硬貨、アクセサリーと同じ場所へ入れると、持ち運び中に金属同士がぶつかります。自宅でも、専用の置き場所を決めておくと扱いやすくなります。
机で作業するときは、バックルを何度も擦らない腕の位置も意識したいところです。傷防止シールは好みが分かれるため、装着感も含めて判断しましょう。
日常の手入れはやりすぎない
使用後の汗や指紋が気になるときは、柔らかな清潔な布で軽く拭きます。汚れを落とそうとして強くこすると、別の細かな線を増やすことがあります。
水洗いについては、リューズがきちんとねじ込まれていることや、時計の状態を先に確認したいところです。古い個体や防水性が不明な個体では慎重に考えます。
洗剤や薬剤を自己判断で使うより、汚れが落ちにくい場合は正規サービスや時計修理店へ相談します。傷を消す手入れと、汚れを落とす手入れは別の話です。
研磨を頼むなら希望を伝える
外装研磨を依頼するときは、「できるだけ傷を消してほしい」だけでなく、形を残したいのか、見た目を優先したいのかも伝えます。
店舗によって、対応できる傷の深さや仕上げ方は異なります。見積もりの段階で、消せる傷、残る傷、研磨しない部分を聞いておくと判断しやすくなります。
オーバーホールと一緒に依頼する場合も、外装研磨が作業へ含まれるか確認しましょう。研磨を希望しないなら、受付時に明確に伝えておく必要があります。
傷を残す選択も間違いではない
傷が気になって時計を着けなくなるなら、専門店へ相談して外装をきれいにする意味はあります。使うたびに気持ちが沈む状態を我慢する必要はありません。
反対に、日常の小傷を自分が使ってきた跡として受け入れる人もいます。どちらが正解というより、その時計をこれからどう使いたいかで答えは変わります。
みなさんの気持ちが揺れるのも自然です。価格だけでなく、着ける頻度や所有期間、将来売る予定があるかまで考えると、自分なりの線を引きやすくなります。
傷を見てから決めても遅くない
サブマリーナーの浅い小傷は、日常で使う中で少しずつ増えていきます。見つけた直後に磨かず、まず場所、深さ、動作の異変を確認してみてください。
研磨で目立ちにくくできる傷はありますが、深い打痕や欠けは完全に消せないことがあります。繰り返し削る影響もあるため、依頼前の相談が欠かせません。
まずは今週末、明るい場所で傷を一枚だけ撮影しておきましょう。次の点検時に写真を見せれば、急いで手を加えるべきか落ち着いて相談できます。












