ロイヤルオークを調べ始めると、一度は「初代」という言葉に引っかかる。Ref.5402という型番の話が出てきて、でもそれが今の自分に何か関係するのか、正直すぐにはピンとこなかった。
こんにちは、『クロノヴィア』のトキオです。今回は「ロイヤルオーク 初代」というキーワードを入り口に、Ref.5402が何者なのか、そしてそれが現代のロイヤルオークとどうつながっているかを順番に見ていきます。
資産価値の話になると数字が先に来がちですが、わたしはまず「なぜこの時計が今でも語られるのか」をつかんでから相場の話に入りたい。そういう順番で確認したほうが、後から後悔しにくいと思っています。
1972年、常識を壊した一本
ロイヤルオークが世に出たのは1972年のこと。当時、高級時計といえばドレスウォッチが主流で、ステンレススチール製の時計が高額品として売り出されること自体がありえない空気だった。
そこにオーデマ ピゲが出してきたのが、ステンレス製・八角形ベゼル・一体型ブレスレットという全方位で前例のない一本だった。デザインを手がけたのはジェラルド・ジェンタ。構想をわずか一晩で描き上げたという話は、今でも繰り返し語られている。
発表当時の価格はステンレス製にもかかわらず、同時代の金無垢時計と同等以上の水準だったと伝えられている。「素材が安い=安い時計」という常識を、このモデルが真正面から崩したかたちだ。
Ref.5402の仕様、どこが特別なのか
初代のRef.5402は、ケース径がおよそ39mm。当時の基準では「オーバーサイズ」と呼ばれるほどの大きさで、これが「ジャンボ」という愛称の由来になっている。
- ケース径
-
約39mm(当時としては異例の大径)
- ケース素材
-
ステンレススチール(一部にゴールド仕様あり)
- 文字盤
-
タペストリーパターン(グランシェッカー柄)
- ベゼル形状
-
八角形・8本のビスで固定
- 製造本数
-
最終的に約6,050本(1972〜2002年)
文字盤のタペストリーパターンは、細かな格子状のテクスチャで光を受けたときの表情が独特だ。現行モデルにも受け継がれているが、初期モデルのそれは印刷や加工の質感に年代による個体差が出やすく、そこを楽しむコレクターも多い。
製造本数の話を一度立ち止まって見る
Ref.5402は当初、スチール製1,000本・ゴールド製100本という計画で始まったとされている。ところが最終的には約6,050本が作られ、販売期間は1972年から2002年まで続いた。
この数字を見たとき、わたしは少し止まった。「初代なのに30年間作り続けていた」という事実は、単なる記念モデルとは違う話だ。それだけ長期間にわたって市場に出回り続けたということは、個体差やコンディションの振れ幅も当然大きくなる。
中古で探す場合、どのシリアル帯のものかによって文字盤や仕上げの印象が変わることもある。「初代だから全部同じ顔」ではないので、そこは注意したいポイントだと思っている。
オークションと中古市場での立ち位置
2022年のフィリップスによるロイヤルオーク50周年記念オークションでは、Ref.5402(Aシリーズ)の一本が予想落札価格2,670万〜5,330万円のところ、約1億4,110万円で落札されたと伝えられている。
トキオその金額は正直、桁が違いすぎて想像がつかない
もちろん、これはオークション最初期の特別なシリアル番号を持つ個体の話だ。一般的な中古流通での相場はこれとは切り離して考える必要がある。状態・付属品・年代によって幅があるため、数字だけを鵜呑みにしないほうがいい。
ロイヤルオーク全体の相場については、ここ20年ほどで定価の3倍程度の水準まで実勢価格が上昇したという分析もある。ただしこれは全モデルの傾向であり、Ref.5402のヴィンテージ個体は別の評価軸で動いている部分が大きい。
現行「ジャンボ」との違いはどこか?
現在オーデマ ピゲが展開する「ロイヤル オーク ジャンボ エクストラ シン」は、初代の精神を受け継いだラインだ。ケース径は約39〜41mm前後で変化し、現行世代(Ref.16202など)は薄型ムーブメントを搭載した超薄仕上げが特徴になっている。
Ref.5402との直接の違いを言うなら、ムーブメントの世代・仕上げ精度・素材の選択肢が大きく変わっている。デザインの骨格は初代から引き継がれているが、時計としての中身は別物と見る視点も必要だと思う。
初代を知ることで何が変わるか
ロイヤルオーク初代Ref.5402を調べてみると、「この時計がなぜ今も語り継がれるのか」がだんだん見えてくる。デザインの話だけでなく、発表当時の価格設定も含めて、ブランドが何に賭けたのかが分かる時計だ。
現行モデルを検討している人にとっても、初代を知っておくと「なぜこの形でこの価格なのか」を自分の言葉で説明できるようになる。買う前に背景を知っておくのと知らないままでは、選ぶときの確かさが少し変わってくると感じている。
まずは公式のAPクロニクルズでRef.5402のページを見てみるか、実物を取り扱う時計店で手に取って確かめるのが、次の一歩としてはいちばん早い。現物を見たあとで、価格や相場の話に進んでいくのがわたしのおすすめする順番です。












